スケッチズム。このブログのタイトルである。見ての通り、スケッチ+イズム(主義)の造語である。
僕がこのサイト名に込めている思いはシンプルで、「スケッチをする」ということである。
みなさんはこう思うかもしれない。なぜ今、「スケッチ」というツールをあえて選択しているのか。写真、CG、イラスト…、表現のツールはたくさんある。
理由は簡単。最も優れた表現ツールの1つがスケッチであると思っているからである。その理由を書いていきたい。
Contents
「スケッチ」とは具体的にどういうことか
多くの人が考えるスケッチとは、おそらくこういったことだろうと思う。
スケッチ (sketch) は、人物や風景などを大まかに描写すること。写生(しゃせい)、粗描・素描(そびょう)とも言う。
絵画における基本的な作業で、美術の訓練としても行われる。主に鉛筆を使用し、スケッチブックに描き留める。彩色を行う場合もあり、スケッチしたものを、水彩や油彩の作品に仕上げることもある。
特に、簡単にスケッチすることをラフスケッチ、素早くより簡潔に描写することをクロッキーと言う。
一般的には、こういうことだが、「スケッチ」というツールはもっと奥が深く優れている。
スケッチする際に生まれる3つのプロセス
「スケッチ」という行為には3つのプロセスが発生する。
- 対象を観察する
- 観察したものに解釈を加える
- 解釈したものを表現する
スケッチする際には、否応なくこのステップを踏むことになる。
対象を観察する
観察するということは対象の「何に」「どの程度」興味があるか、描き手の態度が明確になる。目のつけ所がためされる。観察力にも能力差があり、観察力が優れていれば、深みのあるアウトプットを生み出せる。
観察したものに解釈を加える
観察したとき、もしくは表現をするときには、あなたなりの解釈が必ず加わる。写真と絵が決定的に違うところは解釈が加わることで、客観的なものを主観的なものに置き換えることができることにある。
「ハイパーリアリズム」という再現性の極めて高い表現手法がある。細部まで観察し、忠実に表現する手法で、解釈を放棄しているともとれるが、それでも、被写体の選び方、対象の切り取り方など、少なからず解釈が介在する。
解釈したものを表現する
観察、解釈のプロセスを経て、最後に「表現」する。表現のプロセスはスケッチにこそ最も自由が許されている。写実的な表現に行き着くことも可能だし、アニメのようなデフォルトした表現も可能である。無限の可能性がある。
さらに、スケッチはこの1から3までのプロセスがシームレスにつながっていることが強みである。思考をダイレクトに形に表すことができる。
例えば、CGの作成には観察、解釈というプロセスは伴わない。CGはあくまで表現手法であるため、作成の前にこのプロセスを踏んでいる必要がある。(中にはCGを手足のように使いこなし、すべてのプロセスを画面上で消化してしまう人もいるかもしれないが、、)
スケッチは脳を活性化させる
もう一つとても大事なこと。
スケッチをすると創造力が働く。観察・解釈を超えて「創造」に至る時がある。右手(あるいは左手)はおそらく脳ミソの創造をつかさどる部分と直接つながっていて、手を運動が発電機の歯車のようになり、脳に電気が送られ、脳が活性化される。
書くという行動は、脳幹の網様体賦活系(RAS)にある多くの細胞を刺激します。RASは、脳が処理しなければならないあらゆるものの中で、その瞬間に積極的に注意を向けているものを、より重用視するフィルターとしてはたらきます。そして、書く動作は、「その瞬間に積極的に注意を向けているもの」をつくりだすのです。
『脳をハイパーにする”手書き”のスゴさ』neverまとめ より
一つ、絵描き遊びをしてみたいと思う。
□と△をならべた形を描いてみる。この形が何に見えるか。想像してみてほしい。
僕はまずこの形が鉛筆に見えた。
異なる「解釈」をすれば、とんがり屋根の家みたいに見えるかもしれない。
三角の部分は小銭入れの蓋なのかもしれない。
ちょっとずらしてみると、積み木の一部のようにも見えてくる。
「空間」を与えてあげると、電車になるかもしれない。
スケッチは自由である。創造力に任せるだけで、こんな風にいろいろな道につながる。
スケッチしながらいろいろ考える
このサイトの説明文である。
スケッチをしているといろいろなことを考える。生物をスケッチしているときは、この関節は、どうなっているんだ?とか。建物をスケッチしているときは、ここのおさまりはどうなっているんだ?とか。
息子を描いているときに、こんな顔して笑っているんだ、とか。
観察は理解につながる。理解することで愛情が深まる。愛情はほかの人との共感を生み出す。
スケッチはおもしろい
そして、絵を描くことはおもしろい。
楽しいから続けられるのである。その楽しさを、このサイトを通じて共有できたら何よりである。
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