僕が運営しているサイト「図解屋」のロゴをつくった。
出発点は、ノートに描いた簡単なスケッチ。それをChatGPTに渡したら、最初の清書案が並ぶまで、体感でわずか5分ほどだった。
そこから書体を選び、ひと文字のシンボルを「図解屋」の3文字へと発展させた。「図」には「ず」、「解」には「カ」と「ヰ」、「屋」には「や」。漢字をよく見ると、別の文字が見えてくるロゴだ。
最初の案出しは驚くほど速い。一方で、自分の意図に合う形にするには、線の入りや止め、太さ、字間を何度か調整した。今回は、その発想から完成までの過程を残しておこうと思う。
「図解屋」は、かたちの「なぜ?」を解きほぐすサイト
まずは、今回ロゴをつくったサイトの紹介から。
かたちの「なぜ?」を図解でわかりやすく。
図解屋は、建築・デザイン・身近な科学や技術のかたちと仕組みを、図と記事で解きほぐすサイトです。
身の回りのものを見ていると、「どうしてこの形なんだろう?」と思うことがある。椅子の背もたれ、照明のシェード、窓の構造。見慣れた形にも、使い方や仕組みにつながる理由が隠れている。
その理由が図で見えてくると、さっきまで何気なく見ていたものが、少し違って見える。図解屋で届けたいのは、そんな「なるほど」という感覚だ。
だからロゴにも、見た人が小さな発見をできる仕掛けを入れたかった。
ロゴのコンセプトは、「図」を解くと「ず」がある
考えたのは、漢字の「図」と、ひらがなの「ず」を組み合わせること。
「図」の外側にある四角い国がまえは残し、その中に少し傾けた「ず」を入れる。ぱっと見ると「図」に見えるけれど、よく見ると、線の交差や小さな輪、濁点が見えてくる。
「おや?」と思って見直したときに、「中に『ず』があるのか」と気づく。
図を解くと、ずがある。
名前の読みを忍ばせながら、かたちを読み解く楽しさも表現する。図解屋のコンセプトを、小さなマークの中に入れられそうだと思った。
最初に描いたのは、こんなラフスケッチ

元のスケッチは、このくらい簡単なもの。線は揺れているし、四角もきっちりとは整っていない。
それでも、「国がまえに『ず』を入れたい」「全体では『図』に見せたい」という骨格は決まっている。
ここまで描けたところで、スケッチの写真をChatGPTに添付し、ロゴとして清書してもらうことにした。
伝えた内容を短くまとめると、こんな指示になる。
このスケッチは図解屋のロゴ案です。国がまえの中に「ず」が入り、漢字の「図」と二重の意味を持っています。この仕掛けを残して、ロゴとして清書してください。まずは5案出してください。
スケッチと一緒に、形に込めた意味も言葉で渡す。今回の制作では、この説明が軸になった。
ChatGPTに渡すと、5つの清書案が出てきた
まず出てきたのは、線の太さや角の丸みが異なる5案だった。
- スケッチに忠実な、均一な線の案。
- 角や線の端を丸めた、柔らかい案。
- 直線と角を強調した、幾何学的な案。
- 小さな表示を意識した、太い線の案。
- 線の太さに抑揚をつけた案。
同じ骨格でも、線の扱いだけで印象がかなり変わる。実際に並んだ形を見ると、「この方向が近い」「もう少し柔らかくしたい」と判断しやすくなる。
スケッチを渡してから、最初の清書案が形になるまで体感で約5分。頭の中の案が、もう比較して選べる状態になっている。この速さには驚いた。
なお、この5分は最初の案出しまでの感覚。その後の書体の比較や、英字の大きさ・字間の調整は別に行っている。
書体を試して、柔らかな明朝調のシンボルを選んだ
初期案を見たあと、もう少し表情を探ってみた。
「明朝体を少し柔らかくした感じ」「昭和レトロな感じ」「コミカルなゴシックの感じ」。同じ「図とず」の仕掛けを保ちながら、方向を変えて見比べた。
その中で採用したのが、明朝体のような線の強弱を持ちつつ、筆先や曲線を柔らかくしたシンボルだ。
国がまえにも少し抑揚があり、内側の「ず」と馴染んでいる。図解屋らしい落ち着きと、親しみのある表情にまとまった。
「ZUKAIYA」は、小さく、軽やかに
シンボルが決まったら、その下に「ZUKAIYA」の文字を加えた。
最初は英字も明朝調にしたが、調整を重ねるうちに、下の文字はもう少し軽い方がよさそうだと感じた。
文字の中にあった白い光沢表現をなくして黒のベタ塗りにし、大きさは最初の約70%へ。さらに、線が細めで端に丸みのある、軽やかな書体に変更した。
文字を少し控えめにすると、上のシンボルが目に入りやすくなる。字間にも余裕を持たせて、まずは「図」ひと文字と英字を組み合わせた形がまとまった。

ただ、ここで終わりではなかった。この「図」に続けて、「解」と「屋」もつくりたくなった。
「図」から「図解屋」へ。「屋」の中にも「や」を隠す
3文字のロゴにするときも、採用した「図」の形は引き継ぐ。その隣に書体を合わせた「解」を置き、「屋」には「図」と同じような仕掛けを入れることにした。
考えたのは、ひらがなの「や」を「屋」の上部と左側の払いに溶け込ませる形だ。下側には「至」の要素を残し、全体では「屋」と読めるようにする。

これも、まずはノートに描いた簡単なスケッチを渡した。「図」にある、ぱっと見た印象と見直したときの発見。その二段階の楽しさを、「屋」にも持たせたかった。
「解」のつくりを「カ」と「ヰ」にする
最後に、真ん中の「解」にも読みを忍ばせることにした。
左側の「角」は残し、右側の上をカタカナの「カ」、下を「ヰ」に置き換える。普通の漢字をそのまま使うのではなく、「解」に見える骨格を保ちながら、つくりの部分をロゴとして組み直す発想だ。

ここは一度の指示では決まらなかった。「ヰ」にしたつもりでも、出てきた形はまだ「牛」に見える。
そこで、「左の縦線を下の横線までつなぐ」「上の横線を、左の縦線より少し左へ突き出す」と、違いを具体的に伝えた。四角い空間と左上の突き出しができて、ようやく「ヰ」の形がはっきりした。
「ヰ」は普段あまり見かけない文字だけれど、ここでは「カヰ」という読みの仕掛けとして取り入れている。正しい漢字表記を示すためではなく、図解屋のためのオリジナルの字形だ。
「それっぽい形」から「意図した形」へ進めるには、どこが違うのかを自分で見つける必要がある。この小さな修正は、AIとのものづくりをよく表していたと思う。
書体は、細くすれば揃うわけではなかった
3文字を並べると、ひと文字ずつ見ていたときには気にならなかった違いが見えてくる。
最初は「解」と「至」が太く、明朝体らしい三角の飾りや、線の入り・止めの強さも目立っていた。そこで、もっと軽やかな字体に寄せていった。
ただ、今度は線を細くしすぎて、「図」と「屋」の上部に対して弱く見える。飾りを抑えた線端は残しながら、太さを少し戻した。さらに「解」をわずかに右へ寄せ、両隣との余白を調整した。
同じ太さにすることと、同じくらいの重さに見せることは違う。画数の多い「解」と、広い余白を持つ「図」。形の違う文字を並べるからこそ、全体を見ながら合わせる必要があった。
完成。「図解屋」の下に、軽やかな「Zukaiya」を
3文字の下には、ローマ字で「Zukaiya」を添えた。ひと文字のシンボル案では「ZUKAIYA」と全て大文字にしていたが、今回の横組みでは頭文字だけを大文字にしている。
英字は、細めで端に丸みのある、軽やかな書体に。漢字の存在感を邪魔しない大きさにして、中央に配置した。

こうして完成したロゴには、3つの仕掛けが入っている。
- 「図」の国がまえの中に、ひらがなの「ず」。
- 「解」のつくりに、カタカナの「カ」と「ヰ」。
- 「屋」の上部と左払いに、ひらがなの「や」。
「図解屋」を解いていくと、「ず・カヰ・や」が見えてくる。
漢字の名前と、そこに隠れた読み。形を見直したときに「なるほど」と思える、サイトのコンセプトにつながるロゴになったと思う。
サイト名を見せる場面では、この3文字と英字の組み合わせを使う。ファビコンのような小さな表示には、最初につくった「図」のシンボルを使う予定だ。
AIが、思いついた形を試すまでの距離を縮めてくれた
改めてAIのすごさを感じた。
ノートに描いた小さなアイデアが、すぐに複数のロゴ案として目の前に現れる。「線を柔らかく」「文字を小さく」「もっと軽やかな字体に」と伝えると、その違いをまた目で確かめられる。
発想を考え、どの案を選ぶかを決めるのは僕。その判断に必要な形を、ChatGPTが次々につくってくれる。
いきなり完成形を思い描けなくても、まずスケッチにして、形にして、見て考える。その繰り返しを、こんなに短い間隔で進められる。
思いついたものを、実際につくってみる。そのハードルが、またひとつ下がった気がする。
今回使ったのは、ChatGPT
今回のロゴづくりに使ったのは、ChatGPTの画像生成・編集機能だ。
手描きのスケッチをもとに案を出してもらい、会話を重ねて少しずつ調整した。難しい専門用語を並べなくても、「もう少し柔らかく」「今の70%くらいに小さく」と、見たまま感じたことを伝えて進められた。
自分でも試すなら、まずはスケッチに「何を表したいのか」を短く添えて、いくつかの案を出してもらうところから始めると、形の違いを比べやすいと思う。
そして、今回のロゴに込めた「なるほど」を、記事や図でも届けていきたい。
掲載画像:H+Bの手描きスケッチ、およびそのスケッチをもとにChatGPTで制作したロゴ案。





