ビルバオ・グッゲンハイム美術館の概要
- 設計者 :フランク・O・ゲーリー
- 建設年 :1997年
- 用途 :美術館
- 構造 :鉄骨造・鉄筋コンクリート造
踊る建物、うねる外壁、普通の建築には似つかわしくない形容があてはまる、それがビルバオ・グッゲンハイム美術館である。
ビルバオの地域再生の中心的役割を与えられた美術館は、その猟奇的なフォルムで、期待以上の成果を挙げている。見るものを圧倒するその斬新なフォルムは今でも色褪せない独特の魅力がある。
ビルバオ・グッゲンハイム美術館が魅力的に見える2つの理由
建築の形に魅力を感じるとき、形状の認識しやすさが重要だと僕は思っている。ビルバオのグッゲンハイム美術館の形は規則性がなく、かなり複雑で判別しがたい。しかし、その形容しがたい形状に魅力を感じるのはなぜであろうか。僕は2つの理由があると思う。
重力に反する動的な形状
ビルバオのグッゲンハイム美術館は、一般的な建築の静的な佇まいとは異なり動的な立ち振る舞いをしている。外観は、外壁が反り返っているような、はたまためくれているような様相をしている。
反り返る、めくれる、いずれも重力の影響を受けずに、物体が動いている最中に時が止まったような様相をしている。
立方体の皮が次々とめくれている様子。「めくれる」という様子は、一般的に動的な状態を表す。
外壁がめくれているようなビルバオは、見えない場所で強引に外壁を支持することで、重力にとって不自然な状態を創り上げている。
花のような凸型の形状
一つ一つの面の形状は、複雑な曲面で不規則の形状をとっている。なおかつ、面の集合の仕方も全体をグシャッと集めたような、一見不規則な集合体である。
しかし、ごくゆるい規則性を探してみると、全体のスカイラインはどの方位から見ても凸型で、端の方ほど高さが抑えられている。
中央が凸になる形状は、自然界で多く見て取れる形状である。積もった土が長い時間重力を受けると中央が凸になり山となる。バラのように花弁が重なる花の形は、中央の花弁ほど周辺の花弁が支えとなって、凸型のフォルムをとる。
自然界で見られるこの形の法則は、つまりは重力の影響が垣間見える形ととれる。
重力に反する形であり、それでいて全体像では重力の影響が垣間見える。
それはある瞬間を切り取った、時間を感じさせる建築であると僕は感じる。
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