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【へリック・リートフェルトによるシュレーダー邸】その外観の特徴に迫る

2017-08-29 by えん 2 コメント

シュレーダー邸_外観_スケッチ
シュレーダー邸_外観_スケッチ

 

シュレーダー邸は個人的に好きな住宅の1つである。

設計はへリック・リートフェルト。

面の連なりで構成された外観と3原色を使った表現はあまりにも有名だが、プランも可動間仕切りを用いた当時にしては、斬新なものとなっている。圧倒的に斬新なこのフォルムが100年近く前に設計されたなんて考えられない。

直線をベースにつくられた形状は、一般的な住宅から大きく逸脱するわけではなく、それでいて他の建物とは一線を画す外観を持ち、格好いい。

どのようにして、このようなかたちをつくることが出来たのか、スケッチしながら考えてみた。

Contents

  • 1 シュレーダー邸の概要
  • 2 へリック・リートフェルトという建築家
    • 2.1 リートフェルトの代表作について
  • 3 デ・ステイルという様式について
  • 4 シュレーダー邸の特徴を図面・スケッチから考える
    • 4.1 水平・垂直により巧みに構成された外観
    • 4.2 シュレーダー邸を裸にする
    • 4.3 可動間仕切りによるフレキシブルな平面計画

シュレーダー邸の概要

  • 所在地 :Prins Hendriklaan 50,3583 EP Utrecht, オランダ

 

  • 設計者 :へリック・リートフェルト
  • 建設年 :1924年
  • 用途  :個人住宅(シュレーダー夫人(未亡人)と3人の子供たちのための家)
  • 構造  :木造、煉瓦造、一部鉄骨造
  • 階数  : 地上2階

なんでも、リートフェルトと施主であったシュレーダー夫人(未亡人)は愛人関係にあったのだとか。リートフェルトは、なんと妻子そっちのけでシュレーダー邸1階に自分の事務所を設け、人生の終盤は家には帰らずこのシュレーダー邸で過ごしたのだとか。

へリック・リートフェルトという建築家

リートフェルトは1988年にオランダのユトレヒトに生まれた。(シュレーダー邸のある場所)

父が家具職人で、その父の元で修業を重ね、1911年に自身の家具工場をはじめたとのこと。1918年、モンドリアンらとともに芸術運動デ・ステイルに参加。作品はデ・ステイルの思想に基づき、直線と面で構成されたものが多い。

建築と家具、どちらの作品も秀逸なものが多く、一貫してブレない作品性を持った作家である。

 

リートフェルトの代表作について

  • 赤と青のいす
  • ジグザグチェア
  • シュレーダー邸(世界遺産)
  • ファン・ゴッホ美術館 本館(ちなみに別館は黒川紀章の設計)

デ・ステイルという様式について

「芸術運動デ・ステイル」とは何か。

デ・ステイル (De Stijl) とは、1917年にテオ・ファン・ドースブルフ(英: Theo van Doesburg, 1883年 – 1931年)がオランダのライデンで創刊した雑誌、及びそれに基づくグループの名称。「デ・ステイル」とはオランダ語で様式(英語:The Style)を意味する。

Wikipedia『デ・ステイル』より冒頭文を引用

上述の通り、「スタイル」つまり様式について追及した運動である。

有名な作品に、モンドリアンの『コンポジション』がある。デ・ステイルの思想を表す絵画として非常に秀逸で、ご存知の方も多いのではないだろうか。

基本理念はモンドリアンが提唱した新造形主義(ネオ・プラスティシズム)で、従来の具象芸術に対して水平、垂直、直角、三原色、といった単純性を追求することで、普遍的な表現様式を目指したものであった。

水平・垂直でいえば、モダニズムも比較的その言葉に収斂されると思うのだが、モダニズムが合理性の延長に水平垂直があったことに対し、デ・ステイルは装飾的に、構成を利用しているという印象を受ける。つまり、モダニズムは必要とあらば曲線を使うことを許容するが、デ・ステイルは直線以外を用いることの、一切を排除した、と言える。

要するにデ・ステイルはそういう「様式」なのである。

 

シュレーダー邸の特徴を図面・スケッチから考える

水平・垂直により巧みに構成された外観

シュレーダー邸はデ・ステイルを建築により体現した数少ない作品の1つである。

色使いもちろんのことだが、水平・垂直の分割数が多く、構成要素が多い。さらにその要素が、階の高さなどあえて揃えないことで、自由にふるまっているように見える。背景にデ・ステイルという様式があってこその外観である。

 

シュレーダー邸を裸にする

特に、全体をかっこよく見せているのは、ここのバルコニー部分の壁である。

シュレーダー邸_バルコニーの壁
シュレーダー邸_バルコニーの壁

 

1,2階をまたぐ高さにあり、平面計画にも影響を受けない自由度の高い壁だ。どちらかと言えば装飾的な壁で、なくとも家の機能は損なわれない。

この壁が、シュレーダー邸をコンポジションの絵画のように大胆な構成にしているのではないだろうか。

そう思い、試しに取ってみる。

 

シュレーダー邸_外観_改造スケッチ1
シュレーダー邸_外観_改造スケッチ1

 

どうだろう?案外、普通な感じになってきたか…?。なんとなく、どのように部屋が並んでいるか、立面から見て取れるようになった。

しかし悔しくも、まだかっこいい。さすが世界遺産である。

では、もう一歩踏み込んで、装飾的についている柱やサッシュの挿し色を普通に戻してみる。

 

シュレーダー邸_外観_改造スケッチ2
シュレーダー邸_外観_改造スケッチ2

 

これだけ剥がしても、はっきり言って多様で恰好いい外観が残る。

そしてこれ以上は建物の平面計画であるとか、性能にかかわるところなので、迂闊にひっぺがすことが憚られる。

装飾的な要素を剥がしても、変わらずかっこいいのは、この部屋の窓は腰壁があるほうがいい、こちらの部屋は掃き出し窓、ここにはハイサイドライトがいる、庇は大きく出して水平ラインを強調する。…といったように、場所ごとに綿密に設計された多様な要素が凝縮されたファサードであるからだ。

また、壁で構成される空間は、構造と空間を同時に組み立てるシンプルかつ非常に合理的な方法といえ、その手法をデ・ステイルのデザインとして、既視感のない様式に昇華させているところが、とても秀逸である。

機能と格好が一致しているというのは、デ・ステイルの在り方を建築として昇華させた成果だと言って間違いない。

 

逆に、デ・ステイルの建物が少ないのは、これだけ高度で手間のかかるデザインをできる人間が、もしくはできるプロジェクトが、当時は限られていたのかもしれない。

いずれにしても名作のすごさを、改めて思い知らされた。

 

可動間仕切りによるフレキシブルな平面計画

平面計画について。
 1階にはスタジオ、書斎、台所、家事室、メイド室がある(リートフェルトは1932年まで1階を借りて仕事場にしていたらしい)。
2階は居間、夫人の寝室、息子の部屋、娘2人の部屋があるが、間仕切りは可動式になっており、ワンルーム空間としても使うことができるようになっている。実はこれ、シュレーダー夫人のアイディアであったという。
2階のスペースは、天井までの可動の壁=日本の引戸とも言える“しかけ”により、昼間は浴室までがオープンになる徹底したワンルームで、狭いながらも気持ちが良い開放感と回遊性を確保しています。
  出典:LIXIL :Archiscape 【vol.4 シュレーダー邸/H・T・リートフェルト 住み続けられる住まい〈後編〉】
 当時にして、この可変性を持たせたことは、凄いことである。鉄やガラスが普及し始め、構造の自由度が増してきた、当時の時代、いち早くその特性を生かし、それまでにはなかった、可変性のある住居を提案したのである。

リートフェルト、やはり世界の巨匠である。

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管理人:えん

円

大手設計事務所勤務の建築家 / 爬虫類ブリーダー / 家族肖像画家 / 2児の父

仕事に子育てに多忙を極める中、人生を少しでも楽しむための情報を発信中。

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