レオパを飼っているときに、誰しもが経験する下痢や嘔吐。
おや、体調不良かな?ちょっと様子を見てみよう。しかし、一向に状態が回復しない。そんな時、どう対処すれば良いのだろう。
僕もこれまで何匹ものレオパを飼ってきて、こうした体調不良に陥ってしまった子が少なからずいる。対処が良く快復した子もいるし、力及ばず落としてしまった子もいる。合計4カ所もの動物病院をまわり、様々な先生の意見を聞くこともできた。
この記事では、レオパが長期に渡る体調不良に陥ってしまった時、どのように対処するべきか、僕のこれまでの知見を書き記す。
一応断っておくが、この記事に書いてある通りに実践したからと言って、必ずしも快復するとは限らないし、あくまで個人の責任の範疇で、必要に応じて実践していただきたい。
下痢や嘔吐をしている時に疑うべき3つのこと
レオパの健康を測るわかりやすい指標の一つに糞の状態がある。糞の状態で消化器系の健康を確認することができる。消化器系に異常のあるレオパは健康体であるレオパは、下痢や嘔吐が慢性的に続いてしまう。
このような症状が見られたなら、何かしらの異常をきたしていると考えた方が良い。僕が知りうる範囲で疑うべきことは主に4つある。
- 適切でない温度環境で飼育している
- 生体に過度のストレスがかかっている
- クリプトスポリジウムに感染している
- その他細菌感染、床材誤飲、先天的な障害他
1.最も大事なのは適切な温度環境
初心者の方にありがちなのは、冬になり外気温が下がってきている中で、パネルヒーターのみで飼育しているような場合である。パネルヒーターの直近は30度前後まで温度が上がっているが、それ以外の場所は20度低度までしかない。このような場合、免疫力の低下による日和見感染、消化不良、脱皮不全、卵詰まりなどの様々なトラブルが起こりうる。(卵詰りに関する対処法は『卵詰まりの時の対処についての備忘録』にて詳しく記載)
また温度環境が適切でないと、クリプトスポリジウム や細菌に感染している場合も免疫が正常に機能せずに、深刻な症状を招きやすい。
生体が調子を落ちているときに、まず確認するのは温度環境、それも空気温度の確認が重要である。
温度環境については、以下の記事で詳しく書いているので是非参照頂きたい。
2.ストレスによる体調不良
こちらも初心者の方にありがちだが、レオパがストレスを過剰に感じて、消化器系の働きが弱っている場合がある。ストレスの原因として以下が考えられる。
- 環境の変化によるストレス:ヒョウモントカゲモドキという生き物は、思いの外ストレスに敏感だ。特にお迎えしてすぐ飼育環境が変わった直後は2日程度餌を抜くというのは定石で、環境になれるまでできるだけ刺激を与えない配慮が必要である。
- ケージの覗きすぎ、ハンドリングのしすぎによるストレス:レオパはその可愛さから、ついつい構いすぎてしまいがちだが、時に構いすぎることは、ストレス過多となり生体の調子を崩すことのきっかけになりかねない。爬虫類は放っておくくらいがちょうどよい。
- 同居個体によるストレス:レオパを多頭飼いする人はあまりいないと思うが、例えばコオロギなどの生餌をずっとケージ内に入れている場合に、それがストレスとなることもある。傷つけあってしまうこともあるため、レオパは原則単独飼育をお勧めする。
我々にとっては、「えぇ!?そんなことがストレスなるの!!?」ということも、レオパにとっては大きなストレスとなり、体調を崩すきっかけになるということをよく覚えておきたい。
3.クリプトスポリジウムに感染している
問題はこのクリプトスポリジウム、通称クリプトである。クリプトこそがレオパ―ドゲッコーにとっての最も恐るべき脅威である。レオパはクリプトに対する感度が高く、致死性のある原虫であり、なおかつ他個体への感染性も非常に高い。
クリプトについては、別のページで徹底的に記載したのでぜひ参照いただきたい。
4.その他細菌感染、床材の誤飲、先天的障害他
細菌感染等による体調不良
正直、細菌感染により体調不良を起こしている、という例はあまり聞かない。これまで何度も体調不良でレオパを動物病院へ連れて行けども、細菌を特定した上での対処療法を行ったことは、ほとんどなかった。
理由として、一つはヒョウモントカゲモドキが丈夫な種であることに起因するとこが大きい。一般的な細菌感染くらいでは、通常は体調を崩さないのである。
もう一つは、これは勝手な僕の憶測だが、細菌等が仮にレオパに悪さをしていても、それを発見、もしくは証明することが難しいのではないかと思う。爬虫類の医学は歴史が浅く、未解明な部分が非常に多い。きっと様々な体調不良の要因があれど、その因果関係を突き止めるには、まだまだ時間がかかるのではないかと思う。
何かがきっかけで免疫力が落ちているようなときに、「日和見感染」を起こすことはある。そういう時はたいてい、何かしらの抗生剤を処方されることとなる。これは原因の特定ができているわけではないため、有効であることを祈って処方をする「ショットガン療法」と呼ばれるものとなる。
床材誤飲による腸閉塞
一方で、床材等の誤飲については度々聞く話である。床材等を誤飲し上手く排出できないと、腸閉塞になってしまう。腸閉塞になると糞も排出できなくなるため、嘔吐、拒食などの症状が現れ、最悪死に至る。
腸閉塞は飼育者でなんとかできる範疇を超えているため、思い当たる節がある場合は、早めに動物病院へ連れていくことを強くお勧めする。
また、あらかじめ誤飲をしない床材を選定しないことが重要である。粒子の細かいウォールナッツサンドなどの使用は極力控える。
キッチンペーパーを使用する飼育者は多いが、キッチンペーパーの誤飲報告も過去に挙がっているため、100%安全とはいい難い。
そういったことも踏まえて、僕は建材であるビニル床タイル(通称Pタイル)をカットして使用している。柄もいろいろ抗菌性も高く、糞のふき取りも容易であるため、入手できる人にはお勧めである。
先天的な障害他
生体の調子が崩れる他の要因として先天的な障害などが顕出する、ということがある。僕がこれまでの経験で知り得る直接生体の健康に支障のある障害は、「先天的腎不全による腹水の発生」があった。
腹水といって、お腹に水が溜まることで、拒食などを起こしてしまう。この個体はそのまま亡くなってしまったため、検死解剖をしたところ、腎不全が原因で細菌感染がおこり、腹水発生に至ったということである。
生誕時やお迎えしたときには違和感を感じずとも、何かをきっかけとして突然調子が崩れることも少なくない。こういったケースは、個人で症例を判断することは困難なため、わずかな異変でも気づいたらすぐに動物病院に行くことをお勧めする。
まとめ
ヒョウモントカゲもどきは比較的丈夫で、手のかからない種ではあるが、生き物である限り、必ずなにかしらのトラブルは起こり得る。そんな万が一が起こった際の窓口案内としてこの記事を活用してもらえれば幸いである。
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